資料問題⑤:幕末の動乱と開国(決定版)
1. 貿易開始と庶民の生活
ペリー来航後、日本は開国し貿易を開始したが、それによって国内経済は大混乱に陥った。次の【資料1】【資料2】を読み、何が起きたのかを分析しなさい。
【資料1】貿易開始後の物価上昇率(イメージ)
【資料2】当時の商人の動き
「外国人は日本の生糸(絹の原料)や茶を欲しがり、高い値段で買ってくれる。だから商人は、国内で売る分まで全て横浜(貿易港)に運んで外国人に売ってしまった。」
問1 【資料1】【資料2】から読み取れる、開国直後の日本国内で起きた経済現象とその理由として、最も適切な記述を選びなさい。
【正解:②】
解説: 資料2にある通り、品物が「高く売れる外国」へ流れた結果、日本国内では極端な「品不足(インフレ)」が発生しました。これにより武士や庶民の生活は困窮し、幕府への不満が高まりました(世直し一揆や打ちこわしの原因)。
2. 不平等条約の仕組み
日米修好通商条約などで認めさせられた「領事裁判権(治外法権)」とはどういうことか。次の【資料3】の図を見て問いに答えなさい。
【資料3】日本で外国人が犯罪を犯した場合
【資料4】条約の問題点
領事裁判権: 日本国内で外国人が罪を犯しても、日本の裁判所ではなく、その国の領事(外交官)が裁判を行う権利。
→ 外国人に有利な判決が出やすく、日本人が泣き寝入りすることが多かった。
問2 この「領事裁判権」を撤廃し、対等な関係にするために明治政府が行った努力として、正しい方向性はどれか。
【正解:②】
解説: 欧米諸国は「日本の法律は野蛮で遅れているから、自国民を任せられない」と主張していました。そこで明治政府は、憲法や刑法などの近代法を整備し(欧化政策など)、国の信用を高めることで条約改正を目指しました。
3. なぜ日本から「金」が消えたのか?(思考力)
開国直後、日本からは大量の「金(小判)」が海外へ流出した。なぜ外国人はこぞって日本の金を欲しがったのか? その謎を解くカギは「金と銀の交換比率」にある。以下のシミュレーションを行い、そのトリックを暴きなさい。
【資料5】日本と世界の交換レート(当時)
🇯🇵 日本のレート
金1 : 銀5
(金は銀の5倍の価値)
🌏 世界のレート
金1 : 銀15
(金は銀の15倍の価値)
日本では、世界に比べて「金が安く(銀が高く)」評価されていた!
【資料6】外国人が行った「錬金術」
問3(考察) 【資料5】【資料6】の仕組みを理解した上で、この「金の流出」を防ぐために幕府がとった対策(万延貨幣改鋳)として、論理的に正しいものを選びなさい。
【正解:②】
解説(超重要):
1. 日本の金が安すぎるのが原因なので、日本の小判の実質価値(金の含有量)を世界基準(1:15)に合わせて3分の1に引き下げました(万延小判)。
2. これにより、外国人が両替しても利益が出ないようにしました。
3. 副作用: お金の価値を急激に下げたため、国内では激しいインフレ(物価上昇)が起き、人々の生活はさらに苦しくなりました。
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