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資料問題③

資料問題③:物価・賃金・企業行動の分析(思考力特化版)

1. インフレと生活への影響

次の【資料1】は日本の消費者物価指数(物の値段)の推移、【資料2】は実質賃金(給料の購買力)の推移を示している。これらを読み解き、各問いに答えなさい。

【資料1】消費者物価指数の推移(2020=100)

急上昇 110 100 90 2018 2020 2022 2024

物の値段が上がり続けている

【資料2】実質賃金の推移(前年同月比)

+2% 0% -2% ’19 ’21 ’23 ’24

給料の実質的な価値が下がっている

難易度:★☆☆☆

問1 【資料1】と【資料2】から読み取れる、2022年以降の家計の状況として、最も適切な記述を選びなさい。(資料読解)

【正解:②】

解説: 資料1で物価は上昇(右肩上がり)していますが、資料2で実質賃金はマイナス(ゼロより下)が続いています。これは「額面の給料アップよりも、値上げのペースの方が速い」ことを意味します。

難易度:★★☆☆

問2 【資料1】のような状況が今後も続くと仮定した場合、「現金(タンス預金)」で資産を持ち続けることのリスクについて述べた文として、論理的に正しいものを選びなさい。(思考力)

【正解:①】

解説: 「インフレ(物価上昇)」とは、裏を返せば「お金の価値が下がること」です。例えば、今まで100円で買えたリンゴが200円になったら、手元の100円玉の価値は実質半分になってしまいます。これを「資産価値の目減り」といいます。


2. 豊かさの流出(交易損失)

「日本国内でモノをたくさん作っている(GDP増)のに、なぜか生活が豊かにならない(GDI減)」。この謎を解く鍵となる【資料3】【資料4】を読み、問いに答えなさい。

【資料3】実質GDPと実質GDIの推移

実質GDP 実質GDI 差が開いている 過去 現在

実質GDP:国内での生産量(作った量)
実質GDI:その生産で買える物の量(購買力)

【資料4】交易損失の仕組み

輸入価格が高騰し、輸出価格があまり上がらない場合:

  • 同じ量の製品を輸出しても、海外から買える原油や食料の量は減ってしまう。
  • これは「稼いだ富の一部が、高い輸入代金の支払いとして海外へ流出している」ことを意味する。
難易度:★★★★☆

問3 「実質GDP(生産)」は増えているのに、「実質GDI(購買力)」が増えない理由について、【資料3】【資料4】の内容に基づき論理的に説明したものはどれか。

【正解:②】

解説: 資料4にある通り、輸入価格の高騰は「富の海外流出」を招きます。一生懸命働いて生産量(GDP)を増やしても、その稼ぎが高いエネルギー代や食料代として海外に消えてしまうため、国内に残る富(GDI)が増えず、豊かさを実感できないのです。


3. 物価上昇の裏側と企業の苦悩

次の【資料5】は、企業間で取引される物の値段(企業物価指数)と、消費者が買う物の値段(消費者物価指数)の上昇率を比較したものである。【資料6】の企業のコメントと合わせて読み、あとの難問に挑みなさい。

【資料5】2つの物価指数の上昇率比較

企業物価(仕入れ値) +10%超 消費者物価(売り値) +3〜4% 大きな差(ギャップ) 0% 以前 最近

【資料6】ある中小企業経営者の話

「原材料や電気代(仕入れ値)は倍近くまで上がっていますが、お客さんが離れてしまうのが怖くて、商品の値上げ(売り値への転嫁)は最小限に抑えています。その分、会社の利益を削って耐えている状況です。」

難易度:★★★★★

問4(考察) 【資料5】の「グラフの差」と【資料6】の証言から論理的に推測される、この時期の企業の収益状況と賃上げへの影響として、最も適切な記述を選びなさい。

【正解:②】

解説:
1. グラフの青線(仕入れ値)は急騰していますが、赤線(売り値)はそこまで上がっていません。
2. この「差額」は誰が負担しているか? 資料6にある通り、企業が「利益を削って」負担しています(これを「価格転嫁できていない」と言います)。
3. 利益が減っている(または赤字)の状況では、企業は従業員の給料を上げる原資を確保できません。
したがって、物価高なのに賃金が上がりにくいという悪循環の構造が読み取れます。

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この記事を書いた人

旧ブログ『Mr.ガジェットの日記』をBloggerで立ち上げ、その後当ブログ『ミスターガジェット』を創設。
Twitterのフォロワーは2500人を突破。
紅白出場経験のあるミリオンシンガー小野正利氏に師事するなど音楽活動にも力をいれている。

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