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資料問題②

資料問題②:地理・地域分析 実力テスト(ハイレベル応用編)

1. 地形形成プロセスと土地利用

次の資料(I)は、河川が山地から平野に出る場所に形成される「扇状地」の断面模式図、資料(II)はその構成物質の特徴を示したものである。これらを読み解き、各問いに答えなさい。

(I) 地形の断面と地下水位

山地 地下水位 A(扇頂) B(扇央) C(扇端) 湧き水

(II) 土壌構成物質の透水性

地点主な構成物質粒子の大きさ水はけ
A (扇頂)巨礫・大石極大極めて良い
B (扇央)砂利・砂大〜中非常に良い
C (扇端)粘土・泥極小悪い(水を保つ)

※粒子の隙間が大きいほど水は地下深くへ浸透しやすい。

(1) 資料(I)(II)から論理的に推察される、B地点(扇央)における河川の状態と、適した土地利用の組み合わせとして最も適切なものを選びなさい。(思2)

【正解:②】

解説: 資料(II)より、B地点は「砂利・砂」で構成され「水はけが非常に良い」とあります。これは水が地中深くに染み込むことを意味し、資料(I)の地下水位が下がっている図と合致します。したがって地表の川は水がなくなる(水無川)傾向にあり、水田には不向きですが、根腐れを防ぎたい「果樹園」には最適です。

(2) C地点(扇端)に古くから集落が発達した理由を、資料(I)の「地下水位」と資料(II)の「構成物質」の両方に触れながら40字以内で記述しなさい。(思4)

【解答例】

粘土層が水を堰き止めるため地下水が地表に湧き出し、生活用水が得やすいから。

解説: 「粘土・泥(水を通しにくい)」が壁となり、地下を流れてきた水が地表に押し出される(湧き水)メカニズムを指摘できれば正解です。


2. 農業の収益構造と立地戦略

次の資料(I)は東京市場におけるレタスの産地別月別価格、資料(II)は各産地から東京までの輸送コストを示したものである。

(I) レタスの市場価格変動(1kgあたり)

夏場(7-9月)高騰

※夏場は平地での生産が困難なため価格が倍増する

(II) 産地別データ(推定値)

産地立地栽培方法輸送費(1kg)
A県関東近郊・平地春・秋栽培20円
B県中部山岳・高地抑制栽培50円
C県九州・温暖地促成栽培80円

(1) 夏場(7〜9月)において、B県(高冷地)の農家が、A県(近郊)よりも高い輸送費(50円)を払ってでも東京へ出荷する経済的合理性はどこにあるか。資料(I)の価格情報を踏まえて計算し、説明として正しいものを選びなさい。(思3)

【正解:①】

解説:
春の場合: 価格約100円 – 輸送費20円 = 利益80円(A県)
夏の場合: 価格約300円 – 輸送費50円 = 利益250円(B県)
輸送費が多少高くても、市場価格が倍以上になる時期を狙うことで、最終的な手取り利益が最大化されます。


3. 工業立地の変容とコスト要因

次の表は、1990年代以降に工場進出が増加した「北関東内陸部(群馬・栃木)」と、従来の「京浜臨海部」の立地条件を比較したものである。

(I) 工業用地と物流の比較(指数)

項目京浜臨海部北関東内陸部
土地価格(1坪あたり)100(基準)15
高速道路インターまでの距離平均 5km平均 3km
大型港湾までの所要時間10分120分
空港までの所要時間30分120分

(1) 上記のデータに基づき、北関東内陸部に進出するのに「最も適さない」産業はどれか。論理的に矛盾するものを選びなさい。(思2)

【正解:③】

解説: 資料を見ると、北関東内陸部は「港まで120分」もかかります。石油や鉄鉱石のような「重くて安い原料」を海外から大量に輸入する場合、港から工場までの陸上輸送コストが莫大になり、採算が合いません。これらは船から直接搬入できる臨海部が必須です。逆に、広大な土地が安く手に入るため、自動車工場などは内陸に適しています。


4. 気候メカニズムと数値計算

次の図は、湿った空気が山を越えて反対側に吹き下ろす際に気温が上昇する現象(フェーン現象)を示している。以下の条件と計算式に従って問いに答えなさい。

(I) 山越え気流のモデル図

A地点(0m) 20℃ B地点(2000m) C地点(0m) ?℃

(II) 気温変化のルール

  • 【登り】雲ができるまで(乾燥断熱): 100m上昇するごとに 1.0℃下がる。
  • 【登り】雲ができた後(湿潤断熱): 100m上昇するごとに 0.5℃下がる。
  • 【下り】山を降りる時(乾燥断熱): 100m下降するごとに 1.0℃上がる。
  • 条件: A地点(0m)で20℃の空気が上昇し、1000m地点で雲が発生して雨を降らせ、B山頂(2000m)を越えてC地点(0m)へ吹き下りた。

(1) C地点における気温は何℃になるか。計算過程も考慮して正しい答えを選びなさい。(思4)

【正解:② 25℃】

解説: 順を追って計算します。
1. A(0m)→1000m(雲発生点): 乾燥断熱減率(1.0℃/100m)で下がる。
1000m登るので、10℃下がる。 ⇒ 10℃
2. 1000m→B(2000m): 湿潤断熱減率(0.5℃/100m)で下がる。
1000m登るので、5℃下がる。 ⇒ 山頂は 5℃
3. B(2000m)→C(0m): 水分を落とした乾燥空気なので、乾燥断熱(1.0℃/100m)で上がる。
2000m降りるので、20℃上がる。
5℃ + 20℃ = 25℃


5. エネルギー事情と国家の特定

次のグラフは、3つの国(X, Y, Z)の発電量における電源別割合(2020年頃のデータ)を示している。各国の特徴ヒントを参考に、X, Y, Zに当てはまる国名の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(I) 電源別発電割合

国 X
原子力 70%
国 Y
水力 95%
国 Z
火力 60%
風力等
【ヒント】
  • フランス: エネルギー資源に乏しく、国家戦略として原子力を推進。
  • ノルウェー: スカンジナビア山脈の険しい地形とフィヨルドを有し、水資源が豊富。
  • ドイツ: 環境意識が高く、脱原発を進め、再生可能エネルギー(風力など)の割合が高いが、石炭火力も残る。

(1) 国X、Y、Zの正しい組み合わせはどれか。(知・思3)

【正解:①】

解説:
国X: 原子力が7割を占めるという極端な特徴は「フランス」です。
国Y: 水力がほぼ100%に近いのは、急峻な地形で雨雪が多い「ノルウェー」です(ブラジルやカナダも水力が多いですが、9割超えはノルウェーの特徴)。
国Z: 再生可能エネルギー(緑色)が比較的多く、かつ火力も使っているバランス型は「ドイツ」です。

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この記事を書いた人

旧ブログ『Mr.ガジェットの日記』をBloggerで立ち上げ、その後当ブログ『ミスターガジェット』を創設。
Twitterのフォロワーは2500人を突破。
紅白出場経験のあるミリオンシンガー小野正利氏に師事するなど音楽活動にも力をいれている。

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