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令和六年度 神奈川県公立高校入試国語【問四・問五】完全解析

令和六年度 神奈川県公立高校入試 国語 究極解析報告書

令和六年度 神奈川県公立高等学校入試 国語 徹底解析

「問四:古事談」および「問五:論理的文章」 専門的知見に基づく完全解説

問四:古文『古事談』全文構文解釈・和訳・全設問解析

本問は、白河法皇の卓越した政治的配慮と、それに応える武士・義光の義理堅さを描いた逸話です。貴族的な「道理」と武士的な「実力行使」の対立、そして法皇によるその調停がテーマとなっています。

六条修理大夫顕季卿、刑部丞義光と所領を相論す。白河法皇、何となく御成敗なし。
品詞分解: 六条修理大夫顕季卿(名詞)、刑部丞(名詞)義光(名詞)と(格助詞:対象)所領(名詞)を(格助詞)相論す(サ変・終止形)。白河法皇(名詞)、何となく(副詞)御成敗(名詞:尊敬)なし(形容詞・ク活用・終止形)。
解説: 「相論す(さうろんす)」は争う、訴訟するの意。「御成敗(ごせいばい)」はここでは天皇や法皇による裁定を指します。
現代語訳: 六条修理大夫顕季卿が、刑部丞義光と領地をめぐって争っていた。白河法皇は、はっきりした理由もなく裁定を下されない。
顕季心中に遺恨を含みたてまつる間、ある日ただ一人御前に候す。法皇御覧ぜられて云はく、「かの義光の不審のこといかに。」と。
品詞分解: 顕季(名詞)心中(名詞)に(格助詞)遺恨(名詞)を(格助詞)含み(四段・連用形)たてまつる(補助動詞・謙譲・連体形)間(名詞:接続助詞的)、ある(連体詞)日(名詞)ただ(副詞)一人(名詞)御前(名詞)に(格助詞)候す(サ変・終止形)。法皇(名詞)御覧ぜ(サ変・未然形)られ(尊敬助動詞・連用形)て(接続助詞)云はく(動詞+ク語法)、「かの(連体詞)義光(名詞)の(格助詞)不審(名詞)の(格助詞)こと(名詞)いかに(副詞的)。」と(格助詞)。
解説: 「含みたてまつる」は法皇に対し恨みの心を持ち申し上げる意(謙譲)。「候す(さぶら・す)」は参上するの意。「御覧ぜらる」は「見る」の尊敬語である「御覧ず」に、さらに尊敬の助動詞「らる」が加わった最高敬語です。
現代語訳: 顕季は心の中で(裁定を下さない法皇に対し)恨みを抱き申し上げていたところ、ある日、たった一人で法皇の御前に参上した。法皇は(顕季を)ご覧になっておっしゃるには、「あの義光の疑わしい件(訴訟の件)はどうなっているか」と。
申して云はく、「そのことに候ふ。相論の習ひ、いづれの輩も我が道理と思ふことにて候へども、このことに至りては理非顕然に候ふ。未断の条術なきことに候ふなり。」と云々。
品詞分解: 申して(四段・連用形:謙譲)云はく、「その(連体詞)こと(名詞)に(断定・連用形)候ふ(補助動詞・丁寧・終止形)。相論(名詞)の(格助詞)習ひ(名詞)、いづれ(代名詞)の(格助詞)輩(名詞)も(係助詞)我(代名詞)が(格助詞)道理(名詞)と(格助詞)思ふ(四段・連体形)こと(名詞)にて(断定・連用形+接続助詞)候へ(補助動詞・丁寧・已然形)ども(接続助詞:逆接)、この(連体詞)こと(名詞)に(格助詞)至り(四段・連用形)て(接続助詞)は(係助詞)理非(名詞)顕然(形容動詞語幹)に(断定・連用形)候ふ(補助動詞・丁寧・終止形)。未断(名詞)の(格助詞)条術(名詞)なき(形容詞・ク活用・連体形)こと(名詞)に(断定・連用形)候ふ(補助動詞・丁寧・終止形)なり(断定・終止形)。」と(格助詞)云々。
解説: 「候ふ(さぶらふ)」は丁寧語。顕季が法皇に対して敬意を払って話しています。「理非顕然(りひけんぜん)」は、道理に適っているか否かが極めて明白であること。
現代語訳: (顕季が)申し上げるには、「その件でございます。争い事の常として、どの当事者も自分が正しいと思うものでございますが、この件に関しては正否が明白でございます。未解決のままにしておくべき理屈などないことでございます(早く私が正しいと裁定してください)。」とのことである。
また仰せられて云はく、「つらつらこのことを案ずるに、顕季は件の庄一所なしといへども、全くこと欠くべからず。彼はただ一所懸命の地なり。これを聞こしめす。道理に任せて裁許せしむれば、子細をわきまへずして、武士もしくは腹黒き心などや出来(しゅったい)せんずらん、と思ひて猶予するなり。ただ命の代りにこの所を避(さ)りてよかしと思ふなり。」と云々。
品詞分解: つらつら(副詞)この(連体詞)こと(名詞)を(格助詞)案ずる(サ変・連体形)に(接続助詞)、顕季(名詞)は(係助詞)件(名詞)の(格助詞)庄(名詞)一所(名詞)なし(形容詞・終止形)と(格助詞)いへ(四段・已然形)ども(接続助詞)、全く(副詞)こと(名詞)欠く(四段・連体形)べから(当然・未然形)ず(打消・終止形)。彼(代名詞)は(係助詞)ただ(副詞)一所懸命(名詞)の(格助詞)地(名詞)なり(断定・終止形)。これ(代名詞)を(格助詞)聞こしめす(四段・命令形:尊敬)。道理(名詞)に(格助詞)任せ(下二・連用形)て(接続助詞)裁許(名詞)せ(サ変・未然形)しむれ(使役・已然形)ば(接続助詞:順接確定条件)、子細(名詞)を(格助詞)わきまへ(下二・未然形)ず(打消・連用形)して(接続助詞)、武士(名詞)もしくは(接続詞)腹黒き(形容詞・連体形)心(名詞)など(副助詞)や(係助詞)出来(サ変・未然形)せ(サ変・未然形)ん(意志・終止形)ず(強意・終止形)らん(推量・終止形)、と(格助詞)思ひ(四段・連用形)て(接続助詞)猶予(名詞)する(サ変・連体形)なり(断定・終止形)。ただ(副詞)命(名詞)の(格助詞)代り(名詞)に(格助詞)この(連体詞)所(名詞)を(格助詞)避り(四段・連用形)て(接続助詞)よ(形容詞・語幹)かし(終助詞)と(格助詞)思ふ(四段・連体形)なり(断定・終止形)。
解説: 「欠くべからず」は、ここでは「(生活に)困ることはないだろう」という推量を含んだ当然。最大の難所は「出来(しゅったい)せんずらん」です。動詞「出来(しゅったい)す」未然形+サ変助動詞「す」未然形「せ」+意志「ん」+強意「ず」+現在推量「らん」という重厚な構造で、騒動が起きてしまうのではないだろうか、という法皇の懸念を表しています。
現代語訳: (法皇が)またおっしゃるには、「よくよくこのことを考えるに、顕季はお前はその荘園一箇所がなくとも、決して生活に困ることはあるまい。しかし彼(義光)にとっては、まさに命をかけた唯一の土地なのだ。これを聞きなさい。道理に従って(お前の勝ちという)裁定を下したならば、(義光は)事情もわきまえずに、武士であるからには邪悪な心(逆恨みなど)が起こるのではないか、と思って(判断を)ためらっているのだ。ただ、お前の命を守る代わりだと思って、この場所を譲ってやるのがよいと思うのだ。」とのことである。

問四(ア) 傍線①「何となく御成敗なし」の時の法皇の説明

  • 選択肢1: 「義光」の不審な行動を知り、判断しかねていたため… 不可:法皇は不審な行動に迷っているのではなく、後の発言にある通り「武士の暴発」を恐れて戦略的に保留しています。
  • 選択肢2: 「義光」の言い分が道理に合わないと判断したものの…不服を抱くことを心配し、保留にしていた。 正解:法皇は顕季が正しい(道理に任せれば顕季の勝ち)と分かっていながら、義光が納得せず騒動を起こすことを危惧していました。
  • 選択肢3: 「顕季」の言い分が正しいことは認めていたものの、慢心してしまうことを危惧し… 不可:顕季の「慢心」への危惧は本文に全く記述がありません。
  • 選択肢4: 逆上して危害を加えることを懸念し、事態が落ち着くまで待とうとして… 不可:危害の懸念は正しいですが、「落ち着くのを待つ」のではなく「顕季に諦めさせる」ことが法皇の真意です。

問四(イ) 傍線②「避りてよかし」と言われた時の顕季の様子

  • 選択肢1: ありがたい言葉に感動して涙を流した。 不可:「ありがたい言葉」というには状況が厳しいです。自分の権利を奪われる話であり、単なる感動ではありません。
  • 選択肢2: 理不尽な扱いに怒りを感じ、悔しさのあまり… 不可:法皇に対し「かしこまり申して(謹んで承り)」退出しており、怒りではなく屈服・納得の描写です。
  • 選択肢3: 安全を優先してくれたことに感謝しつつも、未練を断ち切れず… 不可:未練よりも、法皇の深謀遠慮(自分では気づかなかった武士の脅威)に圧倒されています。
  • 選択肢4: 自らの不明を恥じるとともに、慈悲深い配慮に感服して涙を流した。 正解:「命の代わりだ」という法皇の重い言葉に、自分の身の安全をそこまで深く考えてくれていたのかと感服しています。

問四(ウ) 傍線③「避りたてまつらんと思ふなり。」と言われた時の義光の様子

  • 選択肢1: 喜びを感じ、すぐに御恩に報いるため、家来となることを誓う文書を提出した。 不可:注にある「二字」は服属の意ですが、具体的な「家来の誓約書」というより、恩義に対する署名のニュアンスが強いです。
  • 選択肢2: 計らいに感謝を示すため、急いで領地の権利書を取りに行った。 不可:権利書(券契)を渡したのは顕季側であり、義光が取りに行ったのではありません。
  • 選択肢3: 勝利を誇るとともに、その威勢を示すため、すぐに武士を集めて行列を作った。 不可:この時点での行列の記述はありません。後の護送の場面と混同させる引っかけです。
  • 選択肢4: 領地を与えられたことに歓喜し、その恩義に報いるため、忠義を尽くす証としてすぐに自身の名前を書き記した。 正解:注の「二字」の説明「服属の意を示すために名前を記すこと」および、本文の「喜悦の色あり」に完璧に合致します。

問四(エ) 傍線④「御計らひのやむごとなき」と判断した理由

  • 選択肢1: 義光が自分に恩義を感じ、危険な夜道に警護の武士を派遣してくれたことに気づいたから。 不可:これだけでは「法皇の計らい」の尊さ(やむごとなき)の説明として不十分です。
  • 選択肢2: 義光が自分に服属し、手薄な夜道を守るために武士を送ってくれたことを悟ったから。 不可:顕季が悟ったのは、義光の行動の裏にある「数年前の法皇の言葉」の的確さです。
  • 選択肢3: 法皇の言葉に従って領地を手放したことで、義光の恨みを買わずに済み、逆に身の安全が守られる結果になったことを実感したから。 正解:かつて法皇が言った「武士は逆恨みするぞ、命の代わりに譲れ」という言葉が、数年後に「武士による警護」という形で実を結んだ。法皇の政治的予見の正しさを悟ったのです。
  • 選択肢4: 互いに協力し合える関係になれたことを武士たちの姿から確信したから。 不可:協力関係というよりは、一方的な「恩義と警護」であり、焦点は法皇の判断能力にあります。

問五:論理的文章『AIと人間の自由』徹底解析

1. 本文全体の論理性と対比構造

文章1と文章2は、ともに「AI(情報技術)が人間に及ぼす影響」を論じていますが、その視点が異なります。

文章1(長谷川眞理子): 目的の転換
技術は「人間を置き換える」ものではなく、人間が何かを「自力で達成する」のを助けるものであるべき。効率より幸福と充実感を目標に据えるべきだ。
文章2(大澤真幸): 自由の毀損
AIの推奨(レコメンド)は便利だが、人間の「無意識の自由(偶有性)」を奪う。他の可能性があったという余白が失われることが、自由の喪失に直結する。

問五(ア) [ I ][ II ]に入る語句の組み合わせ

  • 1: I:自分の知的好奇心を満足させる / II:選択が正しいと思える状態… 不可:Iは研究者が改めた「旧来の姿勢」に当たりません。IIは「正しい」ことではなく「他の可能性」が重要です。
  • 2: I:人間が働かずに生活する方法を考える / II:自分で決められる状態… 不可:IIが不十分です。文章2は「自覚的に決める」こと以上に、その背後にある「可能性の留保(偶有性)」を説いています。
  • 3: I:技術の進歩の可能性を追求する / II:他を選ぶ可能性がある状態が失われない 正解:Iは、人々が幸せになるという目標以前の「技術ありき」の姿勢。IIは、文章2の核心である「偶有性(他でもあり得た)」に完璧に合致します。
  • 4: I:肉体的な重労働の軽減を目指す / II:選ぶべきものを教えてもらえる状態… 不可:IIが完全に逆です。教えてもらうことは、自由が奪われている状態そのものです。

問五(イ) 条件付き記述問題の緻密解法

【思考プロセス】
1. 文章1の内容から「人間が達成するのを助ける」意の「手助け」を採用。
2. 文章2の内容から「他の可能性を残す」意の「偶有性」を採用。
3. 「AIなどの情報技術を、」に続け、「ように使うことを心がけるべきだ。」に繋がる一文を構築。
[ 記述回答例 ] 人間が自ら達成するための手助けとし、偶有性を保てる (25文字)
【条件適合チェック】
・「手助け」「偶有性」を使用:適合
・字数制限(25字以上35字以内):適合(「自ら……保てる」+「ように……だ。」で合計34文字前後)
・両文章の内容に触れる:適合(手助け=文章1、偶有性=文章2)
令和六年度 神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査問題 解説アーカイブ
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この記事を書いた人

旧ブログ『Mr.ガジェットの日記』をBloggerで立ち上げ、その後当ブログ『ミスターガジェット』を創設。
Twitterのフォロワーは2500人を突破。
紅白出場経験のあるミリオンシンガー小野正利氏に師事するなど音楽活動にも力をいれている。

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